脊髄空洞症友の会へようこそ!

「脊髄空洞症」と診断されて、初めて耳にする病名に戸惑いや不安をもたれたことでしょう。
どんな病気なのか、治療法はあるのか、症状はどのように出るのかなど、心配は限りなくありますね。
病気についてご理解をいただいて、お気持ちが楽になりましたら幸いでございます。

脊髄空洞症友の会とは

「脊髄空洞症友の会」は、昭和63年4月、この病気の研究の第一人者である東京慈恵会医科大学脳神経外科教授(当時)の阿部俊昭先生が結成いたしました。
会員は全国に分布し、年齢は幼児から70歳代、男女比は2対3でやや女性が多くなっています。 脊髄の中を通る神経線維が切断されたり圧迫されたりするために、手が痺れたり激痛があったりするほか、腕や手の筋肉が痩せていくために筋力が低下したりします。

また、温度や痛みを感じなくなり、やけどを負っても気がつかないなど、切実な問題があります。

本会は、病気について理解を深めることで不安や心配が軽減できるように阿部俊昭名誉教授、名誉教授の後継者である磯島晃先生より日進月歩の医療情報を提供していただき学んでいます。また、患者同士の情報交換をしながら交流もはかっています。
友の会例会は、会員が全国から集う会で年に一回慈恵医大で行なっています。
また、患者が主催するオフ会(食事会)があり、主にネットを通じて親しくなった患者同士(会員でない方も参加しています)で、地区ごとに行なっています。

病気と向き合いながら、お互いに苦しみや悩みを分かち合って生活をしていくために、この会は結成されました。

お気軽にお問い合わせいただきますようお待ちしております。

脊髄空洞症友の会事務局

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1)脊髄空洞症の原因

脊髄空洞症が、どのようなメカニズムで発生するのかは、まだ完全に解明されていません。ただ、解っていることは脳で作られ循環している水(脳脊髄液)の流れが、どこかで滞ると空洞が発生しやすくなるということです。
脳脊髄液は、脳の中にある脳室と呼ばれている所で産生されます。
その後、この水は大孔と呼ばれている頭蓋骨の底の穴から脊髄の方へ出てその周辺を回り、尾骶骨の近くまで下に向かい流れていきます。

その後、今度は反対に上に向かい流れるようになり、大孔から頭蓋の中に入り脳の周辺を回り、頭のてっぺんにある静脈に吸収されます。
脳脊髄液は全部で150ml程ですが、一日の生産量は450~500mlなので、一日3回程入れ替わっていることになります。

脊髄空洞症の原因として最も多いキアリ奇形は、後頭部の奥にある小脳が大孔から脊髄に向かって飛び出ている先天性の病気です。
下垂した小脳のもっとも下の部分(小脳扁桃と呼ばれている)が、大孔部において脳脊髄液の流れを妨げることにより空洞が発生すると考えられています。

その他に、後天的な原因によっても脳脊髄液の流れが妨げられると空洞が発生することがあります。
その代表的な例が脊髄損傷です。脊髄がダメージを受けると、その周辺に出血や脊髄浮腫が発生し、それがやがて脊髄くも膜炎に発展すると、脳脊髄液の流れを妨げることになります。
外傷から数年または十数年経過した後に空洞が発生することが多いのはそのためです。
それ以外にも、髄膜炎、くも膜下出血、出産時外傷によっても、くも膜炎は発生します。

2)脊髄空洞症の治療法

手術により空洞を縮小させる事が唯一の治療法です。
ただし、8歳以下で症状が側弯症だけで、その他は全く異常が無い例は、自然に空洞が縮小することもあります。

3)脊髄空洞症の手術方法

キアリ奇形に合併した脊髄空洞症に対しては、大孔部減圧術と呼ばれる手術が最も一般的です。空洞発生の原因とされている脳脊髄液の滞りを回復させる効果がある事により、根本治療として勧められています。
くも膜炎による空洞症に対しては、空洞―くも膜下腔シャント術が一般的です。

①大孔部減圧術

大孔部減圧術の術式を具体的に説明します。
大孔は、脳脊髄液の循環のところでも述べましたが、頭蓋骨の底部に開いている穴です。
この穴の周囲は、後頭骨と呼ばれている頭蓋骨の一部ですが、この骨を部分的に削除し、大孔を広げます。

さらに、脳と脊髄を被っている硬膜を切開し、ゴアテックスという人工素材の硬膜を用いて硬膜をさらに広げることにより、脳脊髄液の流れを回復させます。
手術時間は3時間前後で、後頭部の正中に5㎝程の創が残りますが、髪の毛の中なので目立ちません。
ベッド上安静は1~2日で、術後約一週間で退院可能です。

②空洞―くも膜下腔シャント術

脊髄周囲の癒着により、脳脊髄液の流れが滞って空洞が発生した場合に行なわれる術式です。
脊髄の骨に沿って、約3㎝程の切開を加え、脊椎の椎弓と呼ばれている骨の一部を切除し、脊髄周囲の硬膜を切開します。その後、脊髄線維に沿って2㎜程の穴を開け、そこから直径1,2㎜の軟らかいチューブを空洞の中へ挿入し、もう一方を脊髄周囲の水の流れに置く事により、空洞内の水を持続的に抜く手術です。
手術時間は2時間程度で、翌日には歩行可能となり、約一週間で退院可能です。

4)術後成績

空洞は、長年かかって形成されるため、手術により空洞の縮小が得られても、すでにある障害はなかなか回復しません。ただし、症状の悪化は阻止できます。
すなわち、空洞症の手術目的は、症状悪化の予防です。したがって症状が進行する前に手術をすることが望ましいのです。
先に述べた8歳以下の小児でも、症状が出現し悪化するようであれば手術を勧めています。

私のキアリ奇形に合併した空洞症の手術成績は、初回手術例500例において、空洞縮小達成率は長期経過観察で96%です。
私が始めから手掛けた例においては幸い、永続的な手術による神経障害は、一例もありませんでした。

しかし世の中、抜歯だけでも死亡した例がありますので、どのような手術でも100%安全とはいえません。従って、手術を受けることを決心する場合は、次の事を熟慮する必要があります。

すなわち、手術を受けない事により手足が不自由になる確率、手術によって障害が発生する確率、さらに手術をうけた事により得られる恩恵の高さ、それぞれを天秤にかけて決めることが肝要なのです。
キアリ奇形を例に取ると、自然経過で手足が不自由になる確率は十数年の経過で60%程だといわれています。

東京慈恵会医科大学脳神経外科名誉教授 阿部俊昭監修

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